天満囃子について

鳴り物は、親太鼓、鉦(かね)(二丁)、小太鼓の四つで据え置きにして全て座って演奏します。親太鼓は、背を向け、その他の鉦(二丁)、小太鼓は、正面を向くのが通常ですが、舞台の大きさなどによっては、位置や向きを変えることがあります。

囃子の種類は、大きく分けて地車を動かす時の「道中(どうちゅう)」と舞台など据え置きにして演奏する「へたり」とにわかれます。(道中囃子は後の「地(じ)」の項で説明します)

「へたり」

へたりの囃子は、「一力(いちりき)、二力(にりき)、かやく、しゃんぎり」を一セットとして「一コツ」といいます。そのセットをつなぐ部分として「曲(ま)がり登(ど)」等を用いて本来は、三つつなげて「三(さん)コツ」演奏しますが、現在は、舞台の時間の関係上、二(に)コツが普通になっています。
また、「一力 → 二力」等、全ての変わり方は親太鼓の「ドロ」で変わります。

詳しく解説すると、

始まり → 一力 → 二力 → かやく → しゃんぎり →
曲がり登 → 二力 → かやく → しゃんぎり →
油(あぶら) → 一力 → 二力 → かやく → しゃんぎり

で「三コツ」となります。

「始まり」

始まりは、通常の「オーイ」の掛け声から始まる短いものと、「うちましょ」の掛け声で始まる手打ち(大阪締め)があります。

「一力(いちりき)」

「チキチン チキチン チキチン コンコン」と天神祭や大阪市内の地車で御馴染みのリズムで、馬力のある囃子です。出だしの「どろ」の馬力から次第に「か」のバチさばきに変わっていきます。

「二力(にりき)」

「一力」と次の「かやく」を繋ぐ比較的穏やかで綺麗なリズムです。

「かやく」

通常この「かやく」の名前を曲名として呼びます。

例・「天満、吉野」など

種類が豊富で、「天満(てんま)、天満(てんま)台(だい)、老天満(おいてんま)、吉野(よしの)、東(ひがし)、半鐘(はんがね)、北(きた)、閘門(こうもん)、八幡(やはた)、八幡(やはた)落(おと)し、新囃子(しんばやし)、裏(うら)、繰上(くりあ)げ」等があり、地名に関係しているものが多くあります。

「しゃんぎり」

摺り鉦を基本とした囃子で「しゃぎり」「ちゃんぎり」同様に訛ったものと思われます。小刻みのリズムで最後にテンポを上げて盛り上げる「追い上げ」が見せ場です。

「曲(ま)がり登(ど)」

曲をつなげる部分で、この演奏に入った時の迫力のあるリズムと次第にテンポを落として掛け声をかけながら元のテンポに戻していく所が見せ場です。
「曲がり登」の他に「油(あぶら)」「新油(しんあぶら)」や次に述べる「地」があります。

「地(じ)」

これは、元々地車を曳く時の「道中囃子」を舞台用にしたもので、「道中囃子」では、地車の動き等に合わせて囃しますが、舞台では、「曲がり登」同様に曲のつなぎに用います。
内容は、「地」、「橋(はし)」、「中追(ちゅうお)い」、「手打(てう)ち(大阪(おおさか)締(じ)め)」があり、それらを総合して「地」と呼びます。
掛け声をかけて地車が動いている様を想像させる味のある囃子です。

〈地〉

「一力」を極端にスローテンポにした囃子で、「地」の基本です。

〈橋〉

地車が橋を渡るときの囃子で、元々、太鼓型に膨らんだ木造の橋を渡るときに若衆の掛け声を合わせて馬力を出す為に用いた囃子です。また、木造で重量制限があった為、地車を担ぎ上げて渡ったという地域もあり、このときにも「橋」の囃子をして馬力を出したといわれています。

〈手打ち(大阪締め)〉

大阪で御馴染みの手締めです。「地」以外にも御花(御祝儀)を頂いたときや、地車や船渡御などで他の団体と顔合わせをした時にも行います。
また、舞台の始まりの景気付けと終わりの締めに皆さんに御唱和頂き行います。

かやくと順番について

「一力」、「二力」、「しゃんぎり」の順番等は、決まりがあるので「かやく」の名称(曲名)のみで呼びます。

例えば、

手打ち → 一力 → 二力 → 天満 → しゃんぎり →
曲がり登 → 二力 → 吉野 → しゃんぎり →
油 → 一力 → 二力 → 八幡 → しゃんぎり

と演奏する場合、「手打ちから入って天満三つ」、もしくは、「手打ちから入って天満、吉野、油、八幡」という順番が通常です。従って、「天満、吉野、八幡」と書いていてもそれらの「かやく」のみを演奏することはありえません。

本来は、
「天満、吉野、八幡」
「東、半鐘、八幡」
「北、閘門、八幡おとし」
などがセットとなっており、これに他の「かやく」を当てはめて色付けをしていきます。例えば、「天満」の代わりに「天満台」にして「天満台、吉野、八幡」などです。
これには、「大阪天満から奈良吉野へ行って八幡」や、「北から毛馬閘門に出かけて行く」などの意味があり、先人の作曲や名称付け、かやくの順番に粋な計らいがうかがえます。

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